目次
1.漢方(東洋医学)の目的とは
2.病気や症状の原因について
3.本来の鍼灸治療について
4.身体の規則について
5.陰と陽について
6.五行について
7.体質診断図の作り方について
8.肝臓(木)の働きを知るため
9.心臓(火)の働きを知るため
10.胃腸(土)の働きを知るため
11.肺臓(金)の働きを知るため
12.腎臓(水)の働きを知るため
13.体質診断図(五行相関図)
14.凡例
1. 漢方(東洋医学)の目的とは
身体はあらゆる内況(ストレス)や外況に応じ自然に対応しようとしますが、一度身体のバランスが何かの原因で崩れてしまうと、内外の様々な状況に対応できなくなり、多種多様の疾患や症状が出現します。
漢方(東洋)医学を行う者の目的は、身体が本来持っている自然治癒力を増強させ、あらゆる環境に対応できる身体作りの再構築をお手伝いすることにあります。 その手段として、私達は古くから行われ伝えられている方法に、現代医学の新しい方法を組み込み、より良い方法を目指して毎日の臨床の中に生かそうと努力しております。
2. 病気や症状の原因について
ひとくちに病気や症状を引き起こす原因と言っても、外部から身体に侵入して発病する風邪や、暑気当たり等の自然の原因(外因)と、自分の精神的なストレスとか、心理的な圧迫が原因となって発病する内因、生活の不規則や不摂生が原因となるものの大きく別けて3っの原因があります。
私達、東洋医学を行う者は、初めに「原因」は何かを探す為に、対話の中で相手の話を聞いたり、独特の診断技術を使うなどにより原因を捜し出し、それに沿った治療を行っていくので、その人に会った治療に確信が持てるのです。
3. 本来の鍼灸治療について
最近TVや雑誌でハリ治療が大きく取り上げられていますが、古来中国で行われていた鍼灸治療とは全くかけ離れたものになっているのにお気付きでしょうか。
本来の漢方医学とは、ただ痛む場所に鍼や灸をするだけでなく、それらの症状が起こった原因と経緯を確認し、再び同じ症状が出現しないことを目標にしています。
ツボは皮膚のすぐ下、大変浅い場所にあります。ですから深く長いハリをすればツボを貫いてしまうことになり “痛み”だけが残って少しも効かないのです。本来の鍼灸治療とは、今身体のバランスがどうなっているのかを見分けてから、ツボを選んで行っていくだけなのです。
4. 身体の規則について
どんな機械でもその仕組みは大変複雑で、多くの部品が一定の約束ごとにより規律正しく動いているからこそ、色々な作業をすることができます。これと同じように人間の身体の中にも睡眠は必ず取るとか、食べた物は必ず排泄する等の規則があります。これらの規則を漢方医学では陰陽、五行や虚実という言葉で表現して活用しています。
私達はこれらの法則や規則を無視した為に起こった現象、つまり病気の状態から、本来の規律ある健康な状態に戻すために、陰陽や五行のバランスが乱れている場合は鍼灸等の方法を使って元に戻し、食事や生活については、多くの書籍を参考にしながら良い方法を考えてアドバイスしております。
5. 陰と陽について
陰陽と言う言葉から光と影を連想される方は多いと思います。昔古代の人々は太陽の当たっている場所と当たっていない場所を比べて、陰と陽という言葉で表現しました。そしてこれはそのまま身体の状態を表す、冷えている(陰が多い状態)とか、火照っている(陽が多い状態)という言葉で使われています。
このように陰陽のバランスが崩れ、様々な症状が出現した状態を漢方的により詳しく解釈し適切な治療を加えていくこと、例えば冷えている陰症の場合は灸の陽気を与え、火照る陽症の場合は鍼で陰気を導くようにすることが本来の漢方治療なのです。
6. 五行について
五行という聞きなれない言葉があります。これは生活するのに必要な五つの物質の木、火、土、金、水を身体の五つの臓器(肝臓、心臓、膵臓、肺臓、腎臓)にそれぞれ置き換え、先の陰陽と合わせてこの五つの力関係(バランス)の均衡を取っていく事を指します。
この五行には一定の法則があり、その人の性格や好み等によく反映されています。例えば肝臓が悪い人はよく怒り、酸味の物を好み、肩がよく凝る、腎臓の働きが弱い人は大変恐がりで塩辛いものを好み、腰がよく痛む等の症状として現れます。
次の体質診断の項目に答えて自分は五行のどの部分が強いか弱いかを先ず知って下さい。そこから治療は始まります。