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『薬方愚解』木田一歩/著

2019年12月静風社より出版の 木田一歩著『薬方愚解』の中から、脈診の意義、目的、浮脈(陽脈)について一部抜粋してご紹介いたします。

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General content

意図
The first chapter 気味類
The second chapter 図解類
The third chapter 表類
Reference book

1:桂枝湯

太陽病・中風症を治療する基本法剤である。
発汗 悪風 自汗出 頭痛 太陽中風証(上気)を治す

2:桂枝去芍藥湯

太陽病に対して下法により胸中の陽気が虚して、胸満になった場合に対処する薬方である。
発汗・悪風・自汗出・頭痛・太陽中風証(上気)を治す

3:桂枝去芍藥加附子湯

桂枝去芍藥湯証で悪寒が強い場合に対処する薬方である。

9:炙甘草湯

傷寒証で結代脈を見る場合に対処する薬方である。
呼吸困難・胸満・結代・心悸亢進・心窩痞硬

10:桂枝甘草湯

急激な緊張や発汗過多により表に於いて陽気が強くなり、心が対応して衝逆し眩暈等が生じた場合に対処する薬方である。
發汗過多・手自冒心・心窩悸欲得按・心窩悸(水気ではなく衝逆の気が急迫することによる)拒按

11:桂枝甘草龍骨牡蠣湯

心窩悸が主症である桂枝甘草湯証が悪化し、煩燥が主症になった場合に対処する薬方である。
強い上衝・煩燥・心窩悸・胸腹有動急迫・面赤

12:桂枝去芍藥加蜀漆牡蠣龍骨救逆湯

桂枝去芍薬湯と同じく腠里を収斂させて駆邪を防いで、上焦の胸満の悪化を防ぐ薬方である。
驚狂起臥不安・火逆躁胸腹動劇・虐疾・有上衝・心窩動悸

13:桂枝加龍骨牡蠣湯

下焦の臓器が虚衰したことで肝が上焦に旺気することが制御できず、上焦熱になることで肺が外風に傷られ、心が腎と正しくリンクしないために精神症状を見る場合に対処する薬方である。
失精・衝逆・小便不利・悪寒・煩渇・頭痛・臍下有動・胸腹有動

14:天雄散

桂枝加龍骨牡蠣湯よりも下焦の虚が強く、寒冷症状が激しい場合に対処する薬方である。
寒冷が強く下肢の浮腫強い・尿不利・或小便数・瘀血塊・中極周囲違和感

108:桂枝去芍藥加麻黄細辛附子湯

桂枝去芍藥湯と麻黄細辛附子湯の合方で、心腎陽気が虚して水が動かず、胃中に宿して痰飲が作られた場合に対処する薬方である。
悪寒・無大熱喘・胸満苦(煩悶自覚所見)煩・渇・身体不仁・手足厥冷・心窩堅胸満 脈促時に結代脈

133:茯苓桂枝白朮甘草湯

上焦の心陽気が虚して中焦に痰飲が生じたことによって、更に脾胃が虚した場合に対処する薬方である。

133:茯苓桂枝白朮甘草湯

『方機』
「心下逆満、起則頭眩者。」
「眼痛生赤、脈不能開者。」
「耳聾衝逆、甚頭眩者。」

『方極』
「治心下悸、上衝起則頭眩、小水不利者。」

苓桂朮甘湯方
茯苓四兩.桂枝.白朮各三兩.甘草二兩.
四味.以水六升.煮取三升.分温三服.

ふわふわする感じの目弦
※但し回転性ではない
(この眩暈は上衝の眩暈だが気と血が合わさって
いるので脾を触る必要がある)

薬法愚解1

心陽気が虚しているので陽気が行らせない。
茯苓:心陽に対して動かしリズムを一定にする。
桂枝:表衛気を高め気の異常を治す
右季肋部と右膈兪が張っているので小柴胡湯証と間違えやすい
甘草:表位・上部の水邪を除く更に中が空虚にならないように中焦に働きかけて水を作らせて充實させる。
白朮:中焦脾を補い清浄な水を作る。人參と甘草の働きを有し水病を治す。
加源味:地黄・沢瀉・滋潤・臍上動悸有り
トイレに行くが出ない。出た気がしない

薬法愚解2

上焦の心陽気が虚して中焦に痰飲が生じたことによって更に脾胃が虚した場合に対処する薬方である。

これによって身体の陽気が上方に達して行らずふわふわする感じの目弦が生じるが、但し腎虚で見るような回転性のめまいは生じない。一般に苓桂朮甘湯証の症状は加齢と共に八味地黄丸証似るが、これは利小便にて邪気を除くと好転することが多い。また類似処方に苓薑朮甘湯証があるが、これは上焦の症状(めまい)がなく、更に中焦が冷えている場合に用いる。

鍼灸治療は心陽気が虚衰して水を行らせることができず眩暈が生じているのであるから、陽気を行ら せる目的で火穴や土穴を時に応じて配穴して先ず標治的に治療する。この場合陽気が虚しているから といって表に温灸や電熱で熱を加えてはいけない。

なぜなら裏水の状況が変わらないのに表陽気を一度に増せば更に眩暈が起こるからである。

  • 上衝有咳は左尺沢・右肺愈。
  • 上衝無咳は右申脈・右後渓。

右胃愈は必須 脾陽虚が胃陽虚になって痰飲が発生しているので陽気を補うと良い。

五行図

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